2006年7月のイチ押し:The View

The ViewThe View on Fire!

本当のクールさっていうのは、アンクールさの中にあるんだと思う。絶対零度の火傷してしまいそうなクールさもいいだろう。でも、なんかぱっと見ダッサいんだけど、蓋を開けたら他を引きちぎってぶっ飛んでるっていう訳のわからなさって、とってもクールじゃなかろうか。

もしあなたがロックバンドを始めて、まずはお手軽にSNSに自分たちのページを作ろうと思ったら、どんなURLを選ぶだろう。十代後半の、普通だったら自分らをカッコ良く見せたい盛りの少年たちだったとして、だ。TheViewは、dryburghという単語を選んだ。それは彼らの出身地だ。スコットランドはDundeeの一角。 日本にたとえるなら、「はちのへ」とかそんな感じだろうか。全くロックを感じさせない地名であることは間違いない。それを敢えて、万人がアクセスするためのネット上の住所として選択するなんて、死ぬほどクールだとしか言いようがない。

ストロークスやリバティーンズをデビューさせたスカウトマンに見いだ された、平均18歳の4人組。そんなキャッチフレーズを聞いたら、誰だってスタイリッシュなファッションに身を包んだ、野心的な面構えをした生意気そうな子供たちを思い浮かべるだろう。想像した後でTheViewの写真を見ると、脱力するしかない。そこにいるのは、ただの田舎の子供たちだ。プロモーション用にカッコつけていても 笑えるし、スナップ写真でえへへと笑っていてもまた微笑ましい。ただの田舎の子供たち―或いは、一つだけ付け足すべきだろうか。「誇らしげな田舎の子供たちだ」と。どこにでも居そうなくせに、何かしでかしそうな雰囲気は、ぷんぷん立ちのぼってくる。

この子供たちが鳴らす音は、彼らを酷く裏切っているようでもあり、また似つかわしいようでもある。どことなく懐かしいポップの響きだ、と言ったら、あまりに意外性がない。かといって、リバティーンズの切れ味だ、と言ったら、格好をつけすぎだ。ただ、その垢抜けない見た目や訛り丸出しのMCと、そこから一転して繰り出される尖った音との間のギャップは大きく、でもやっぱりどこかコミカルな味付けは期待に違わない。ただ、単に楽しいとかカッコいい、と評すと、いい大人が彼らにくすくす笑われそうな気がする。18歳の子供たちが無邪気に演奏しているだけとは思えない、老獪にも意図的に散りばめられた隙のようなものを、彼らの音楽の中には感じなくもない。

狙っているのか素でこうなのか、The Viewはいまいち掴みどころがない。ただひとつ確かなのは、彼らを知った人は、彼らのことを好きになってしまうということだ。或いはそのクールさに圧倒されて、或いはそのアンクールさに魅了されて。そうして彼らは肩肘張らず、大きな波を巻き起こして行くのかもしれない。

蛇足だが、同じDundeeの出身であるXFM Scotlandの DJジム・ゲラトリーは、彼らの登場に熱い喝采を送る一人である。 Dundee rocks!

 

メンバー: Steve、Keiren, Kyle & Pete

バンドHP: http://www.theviewareonfire.com

MySpace URL :http://www.myspace.com/dryburgh

 

※2010/12/14 この記事を掲載した後のThe Viewの人気の広がりは爆発的だった。デビューアルバムの大成功、莫大な費用と労力をかけてセカンドアルバムが制作され全米ツアーに来日も果たしたThe View。その後Pete Dohertyとの交友関係からKyleのトラブル、そこからアメリカ、日本への来日が困難にとファンには心配な時期が続くが、2010年のThe Viewはツアーを再開し新曲も数多く披露。2011年3月にはシングル『Grace』のリリースが決定しサードアルバムが心待ちにされる。  

 

 

 

 

広告

eejitrecords について

イージットレコードは スコットランドと北アイルランドの インディー・ロックバンドを断然応援中!

投稿日: 16/07/2006 | カテゴリー: イチ押し | パーマリンク 2006年7月のイチ押し:The View はコメントを受け付けていません。.

コメントは受け付けていません。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。