2006年8月のイチ押し:Fickle Public

Fickle Public by David NewittScotland’s Finest? No, UK’s Finest!

誰が何と言っても、フィックル・パブリックはナンバーワンなのだ。スコットランドの若手の中で? 

―いや、イギリスの若手の中で!!

完璧なシングルを出すバンドはたくさんいる。でも、完璧なアルバムを作るバンドは、そうはいない。幾つかの頭抜けて優れた曲と、つなぎの数曲。それはアルバムとしては完璧とはいえない。誰とは言わないが、最近リリースまで至ったUKの新人バンドのアルバムは、多くがそのタイプだ。フィックル・パブリックは違う。アルバムが始まってから終わるまで、一つの作品として隙がない。10曲入って30分という短さは、彼らのデビュー・アルバム『Bucko』の素晴らしさを端的にあらわしている。コンパクトで、ダイレクトで、ストレート! どこにも嘘がなく、始まったままの勢いで駆け抜けて、飽く間もなく終わってしまう。何度聞いても痺れるような名作だ。そんなアルバムを作り上げた彼らに敬意を表して、かなり気前よく、イギリス一の称号を捧げたというわけだ。

レーベルの先輩にあたるJetplane Landingや、人によっては初期のHundred Reasonsを思い出すようなハードな音づくり。イギリスのヘヴィ・ロック雑誌Kerrang!では、Fugaziと初期Idlewildを足して2で割った感じ、と評されていた。Fugaziはバンド自身も認める大きなインフルエンスになっているが、Idlewildに関しては、ともにスコットランドのバンドというところからの発想だろうか。音楽の種類としては、両者はあまり重なるところはないと思う。ただ、もしその持ち前のパンク・アティテュードについて考えるなら、二十歳そこそこのロディ・ウォーンブルがイノセンスを逆手に取って突きつけた痛烈な皮肉と同質のものが、フィックル・パブリックからも伝わってくる。それは主に、アル・ファーガソンのボーカルスタイルによるものだろう。

R.E.M.の「等身大の疑問符」といったら某ロック誌で使い古された表現かもしれないけれど、フィックル・パブリックを聴いていると、どことなくその言葉を思い出す。重厚感のあるサウンドの中を突き抜けて、アルの声は、ひたすら無垢にまっすぐ伸びる。まるで何も知らない子供の声のように。だがその声は、その無邪気さでもってこの世界の歪みや不透明さを暴き立てて、リスナーに鋭く迫ってくるのだ。

ロディ・ウォーンブルはあっという間に大人になってしまった。アルにはもう少しのあいだ、今のままでいてほしい。

 

メンバー: Alan Ferguson (vocals/guitar), Jim Butterly (guitar), James Cameron (bass), Lewis Gale (drums)

MySpace URL :http://www.myspace.com/ficklepublic

 

※2010/12/14追記

日本でも輸入盤が評判となった『Bucko』に続くセカンドアルバムのレコーディングが期待されていた矢先の2007年5月に解散。keepitfast.comによるとドラマーのLewisがMake Modelに参加するため脱退したことがきっかけになった模様。その後Distophia(現在のCalories)とスプリットシングルを予定するも流れ、世界中のファンが既に録音されていたという音源のリリースを待ち望んできた。2010年12月13日、ついにSmalltown Americaより未公開音源を集めたEP『Greatest Hits』がリリースされた。

 

 

 

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投稿日: 17/08/2006 | カテゴリー: イチ押し | パーマリンク 2006年8月のイチ押し:Fickle Public はコメントを受け付けていません。.

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