2013年10月のイチ押し:Feet For Wings

FFWFeet For Wings

君がいるから、迷わない。

 
「オルタナティブ・フォーク・ロック」とか、呼んでしまえば簡単なのかもしれないけれど。Feet For Wingsの魅力は、一部だけを見て何らかのジャンルに帰しただけでは決して見つからないところにある。いつだって彼らの音楽は、中に相反する二つのものを抱えているからだ。

若さと老練。影と光。冷静と熱情。触れる指先が震えてしまうほどの繊細さと、何にも揺るがされない強さと確かさ。彼らの郷里ベルファストそのままに、雨に煙った冷たい沈んだ静けさに縁取られながら、さまよった末に小路の暖かいパブに入ったときの、心からほっとする暖かさを持ち合わせている。そう。それらの入り組んだ二面性こそが、彼らの魅力の鍵なのだ。

たとえばまず、彼らのEP ”The Colder Stone”や、シングル”Rose Before Bloom”、”If Dawn Doesn’t Come”を聴いてみてほしい。時に消え入りそうなほど儚く、時に聞き手の心を掻き立てるように熱を帯びたアコースティック・ギターの音色に、無垢なようで憂いを帯びたコーラスが乗る。ライブでさえも隙の無い、完璧な静謐。―だがこの静謐には、確かに人の血が通っている。

2013年9月にリリースされた彼らの最新EP、”Homes”は、その二面性をより際立たせながら、さらに進化した作品に仕上がった。この作品に先立ってリリースされた曲と比べると、若さやポップさが前面に出た音作りがされている。エレキギターを主役に掲げるようになった彼らの音楽は明るさをぐっと増し、あちこちに散りばめられたきらきら輝く音の欠片は、冬の街の夜を彩る白や金の華奢なイルミネーションを思わせる。

けれど一方で、やはりその明るさも一面的なものではなく、常に脆さや憂鬱、或いはちょっと猫背にすねたような気難しさを湛えている。それは念入りにミックスされた音や様々な表情を持った声や旋律だけでなく、彼らの歌う言葉からももたらされる。たとえば表題作’Homes’で、きらめく音に乗った透きとおった声で歌われるのは、「家」と呼ぶべき場所を探して彷徨う若者の心の声だ。どの曲に関しても、彼らの歌う歌詞は仄暗くどこか漠然としていて、決して具体的に共感を呼びやすいものではないかもしれない。けれどその分、イメージを膨らませ、自らの心の中の叫びと彼らの声を重ねられる余地を誰もに与える。

複雑な二面性を抱えているようでいて、まっすぐで、決して聴き手を迷子にはしない音楽。こんな素晴らしい作品をリリースした彼らは、何とまだハタチになるかならぬの大学生だという。異なる街で暮らしはじめた双子の青年が、お互い離れた土地で得たもの感じたことを反映させて紡ぐ音楽。彼らも彼らの音楽も、これから更に成長して行くのだと思うと、先がますます楽しみだ。 (1号)

 

Feet for Wings – Rose Before Bloom

http://feetforwings.bandcamp.com/
https://www.facebook.com/FeetForWings

 

 

 

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投稿日: 01/10/2013 | カテゴリー: イチ押し | パーマリンク 2013年10月のイチ押し:Feet For Wings はコメントを受け付けていません。.

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